- 介護リフォームを検討するポイント
- 主な介護リフォームの種類
- 介護リフォームの費用目安
- 介護リフォームが使える補助金・助成金
- 改修・リフォームには減税制度も?
- 介護保険を利用したリフォームの流れ
介護リフォーム
高齢者や障害のある方など介護を必要とする人が、
安全に日常生活を送れるように住まいを見直すこと
消費者庁による調査によると、65歳以上で転倒などで亡くなる方は交通事故の約4倍。
そして、転倒事故があった場所の約半数が家の中です。
特に80歳以上になると、段差がなくてもつまずいたり、転んだりする事故が顕著に増えます。
このような事故を防ぐためには、手すりの取り付けや段差の解消をする
介護リフォームが必要になります。
介護リフォームを検討するポイント
介護リフォームは要介護者(介護を必要とされる方)はもちろん、
介護者(サポートする方)の目線でも考えることがポイント!
1:要介護者が暮らしやすいこと
年齢を重ねると、今までできていたことが難しくなる場面があります。
しかし介護リフォームによって生活の問題点を解消し、危険を減らしていくことで、
自立した暮らしを続けられるようになります。
日常生活を続けていけることは要介護者にとって自信となり、生きる活力にもつながります。
介護リフォームは「こうしたらいいはずだ」と支える側が決めつけるのではなく、
要介護者の希望や意見を聞き、丁寧に寄り添って進めていきましょう。
2:介護者の負担が軽減されること
要介護者の暮らしを守っていくのと同時に、家族など介護する側の目線も重要です。
なぜなら、介護は体力的、精神的にも負担を感じることがあるからです。
介護リフォームでは、介護される本人の暮らしと、その家族の負担の軽減を考えます。
リフォームするときに、要介護者本人と介護者の意見が合わないときは、
第三者である福祉のプロが入って意見をすり合わせる必要も。
介護者の負担の軽減は、介護される側にもプラスに働くでしょう。
主な介護リフォームの種類
・手すり
手すりを付けると転倒のリスクが減るため、自分で廊下を移動したり、トイレへ行ったりする際の安心感につながるでしょう。体が安定するため、介護者の負担も軽減されます。その場所、その人にあった手すりを選ぶことが重要です。
・段差解消
部屋の境目などにある数cmの小さな段差は、つまずきの原因となり危険です。転倒による大きなケガや後遺症を防ぐため、段差を解消しましょう。車いすの利用もしやすくなるので、要介護者・介護者両方におすすめのリフォームです。
・床材を変える・滑り止めをつける
高齢になると段差がなくても転びやすくなるので、床材の見直しも大切です。掃除しやすいものにすると、介護者の負担も減るでしょう。畳は車いすが使いにくいので、コルク材や滑りに配慮したフローリングへの変更がおすすめです。
・扉の変更・取り替え
開き戸を使うときは、扉の分、いったん体をよけなければいけません。高齢者にとってはバランスを崩しやすい動きです。
扉は引き戸、折り戸に変更しましょう。ドアノブは丸いものからレバーハンドルにすると、握力の弱い方でも軽い力で開けられます。
・便器取り替え
和式トイレでは立ったり座ったりの動きが負担になり、転倒の危険も高まるので、洋式に取り替えましょう。また便座をかさ上げすると、着座や立ち上がりがスムーズに。便座が電動で昇降し、動きをサポートしてくれるものもあります。
介護リフォームの費用目安
トイレの介護リフォーム
工事内容 費用目安
手すりをつける | 数万円~ |
和式から洋式へ変える | 20~35万円 |
床材を滑りにくいもの、掃除のしやすいものにする | 2万円~ |
トイレの位置を変える、 トイレを拡張する、 寝室やリビングと同じ階にする | 数十万円~ |
ドアを引き戸にする | 5~30万円 |
お風呂の介護リフォーム
お風呂の介護リフォームのポイントは安全性。昔の住宅は脱衣所から浴室への段差や、浴槽への高低差が大きく危険な場面があるので、しっかり見直しましょう。暖房機能があるとヒートショックの危険も軽減できます。
工事内容 費用目安
手すりをつける | 数万円~ |
濡れても滑りにくい床にする | 10~20万円 |
開き戸から折り戸にする | 5~30万円 |
暖房機能の設置 | 10万円~ |
浴槽と床の高低差の少ないユニットバスへ | 80万~ |
バスリフト設置 | 30万円~ |
キッチンの介護リフォーム
車いす対応キッチンはワークトップの下に膝が入るスペースがあり、
座ったままでの料理や片付けがしやすくなります。
昇降機能付きの吊り戸棚や、リモコン付きのレンジフードなど、
高い位置の設備を使いやすくすることもポイントです。
工事内容 費用目安
車いす対応システムキッチンへの交換 | 40〜80万円 |
電動昇降機能付き吊り戸棚の設置 | 8万円〜 |
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更 | 10万円~ |
洗面所の介護リフォーム
クッションフロアは撥水性に優れ、車いすでも移動しやすい床材です。
車いすでも使える洗面台は、洗面台下にスペースがあり、座ったまま洗面台を使えます。
工事内容 費用目安
車いすでも使える洗面台にする | 15万円~ |
引き戸への変更 | 10万円~ |
段差の解消 | 数万円~ |
クッションフロアの床にする | 2万円~ |
寝室の介護リフォーム
工事内容 費用目安
ベッドサイドに手すりをつける | 数万円~ |
床材をクッションフロアやコルクに | 5万円~ |
引き戸への変更 | 10万円~ |
足元に照明をつける | 1万円~ |
押入れをトイレに改造する | 30万円~ |
階段・廊下の介護リフォーム
介護が必要になったとき、どこで寝るかは大きなポイント。
寝室の介護リフォームのポイントは、トイレに行きやすいことと、
孤独を感じにくくし寝たきりを防ぐことです。
廊下を行き来できると自分でできることが増え、介護者の負担が減ることも期待できます。
工事内容 費用目安
手すりの取り付け | 数万円~ |
階段の床材を滑りにくいものに変える | 2万円~ |
階段の傾斜をゆるやかに作り変える | 100万円~ |
足元に照明をつける | 1万円~ |
介護リフォームで使える補助金・助成金とは?
介護保険を利用する
高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みが、介護保険制度です。住宅改修が介護のためだと認定されれば、国からの補助がでます。ただし、要支援1~2、要介護1~5の人が住む家が対象で、事前に申請が必要です。
補助金が出るリフォームの種類
①手すりの取り付け
②段差の解消
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
④引き戸等への扉の取替え
⑤洋式便器等への便器の取替え
⑥上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
支給限度基準額は20万円、収入に応じて自己負担が1~3割なので、最大18万円が支給されます。これは何回かに分けて利用可能です。要介護状態区分が3段階以上上がったときや、転居したときは再び補助がでます。
改修・リフォームには減税制度も利用できる
介護のための改修・リフォームは、所得税・固定資産税などの減税制度もうまく利用しましょう。
所得税の減税
自分の住まいにバリアフリー改修をした場合、所得税額が一定額控除されます。適用期限は令和5年12月31日です。
<利用条件>
適用を受ける人が所有し、かつ居住用とする家屋であること
引渡し、または工事完了から6カ月以内に住むこと
床面積が50㎡以上であること
店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
50歳以上であるか、要介護・要支援の認定を受けている、または要介護・要支援の方や65歳以上の方と同居している
合計所得金額が3,000万円以下
【固定資産税の減税】
新築後10年以上を経過した住宅に対して一定のバリアフリー改修工事を行い条件を満たすと、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されます。こちらも期限があり、令和6年3月31日までに工事を完了している必要があります。
介護保険を利用したリフォームの流れ
1:ケアマネージャーに相談する
はじめにケアマネージャーや地域包括支援センターの職員などへ相談をします。介護保険を利用するには「住宅改修が必要な理由書」を書いてもらって申請する必要があり、専門的な知識が必要だからです。
2:プラン・見積りを作成する
続いて、見積もりを取ります。どの箇所に、どのような種類のリフォームをするかプランを話し合いましょう。本人や家族の意見から住環境の問題点を洗い出し、申請に必要な見積書や工事の内訳書を作成してもらいます。
3:事前申請をする
介護保険を利用するには、見積書や住宅改修が必要な理由書、改修前の住宅の状況が分かる写真、改修の予定状況を記した図面などを準備し、必ず工事前に申請が必要です。お住まいの市区町村担当窓口に申請します。
4:リフォーム工事をする
リフォーム工事の際に、実際に手すり位置などを要介護者本人が立ち合い確認しましょう。要介護者・介護者の双方がリフォームの内容に納得していることが大切ですので、工事までにケアマネージャーを含めしっかり話し合います。
5:完了届を出して審査を受ける
工事が終了したら、領収証など費用が発生したことがわかる証明、完成後の写真や工事内訳書などを添えて、工事の完了届を出し支給の申請をします。審査を受け、必要な住宅改修だと確認が取れると、費用が支給されます。
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