リフォームコラム

ベランダ防水リフォームの種類

ベランダ防水リフォームとは?

ベランダ・バルコニーの床面は、下地の上に【防水層】をつくり、
その表面に【トップコート】を塗ることで構成されています。

ここでは、【防水層】と【トップコート】について解説していきます。

防水層

ベランダの防水層の種類は、大きく分けると以下の2つです。

・防水層にトップコートを重ねる防水
「FRP(繊維強化プラスチックス)防水」と「ウレタン防水」の2種類の方法があります。
防水機能のある塗料を重ね塗りしながら仕上げます。

・シートによる防水
「合成ゴムシート」や「塩化ビニールシート」などを使用するのが主流です。

トップコート

ベランダやバルコニーの床の防水層の表面は、「トップコート」と呼ばれる塗料で塗装されています。
主にグレーで塗装されていますが、カラーバリエーションはたくさんあり、ベージュや白、グリーンなども選べます。

トップコートには、防水層を紫外線から守る役割があり、タイプは主に以下の2種類があります

・ポリエステル系
・ウレタン系

ポリエステル系は耐摩耗性に優れていますが、伸縮性が低いという面があります。
ウレタン系はポリエステル系よりも伸縮性が高いため、重ね塗りにも向いています。

こんな症状が出たらベランダ防水リフォームしたほうがいい

築5〜15年経過しているかどうかにかかわらず、ベランダやバルコニーの床で以下のような異常を発見したら、補修が必要です。

● 表面の色あせ
● ひび割れや剥がれ
● 水が溜まる
● 植物や藻の繁殖
● 雨漏り

表面の色あせ

床の表面が色あせてきたら、トップコートの機能が低下している証拠です。

ひび割れや剥がれ

ひび割れや、剥がれ・ふくれた箇所を見つけた際には、防水リフォームが必要です。

めくれたり、浮き上がったりしている部分がある場合には、下地の工事も必要になる可能性が高いです。

水が溜まる

ベランダに水が溜まるのは、排水口(ドレン)にゴミがたまっていたり、床の防水効果が低下していたりする可能性があります。

また、床の防水効果が低下している場合は防水層を再リフォームします。
さらに、水がドレンに流れない平坦な床の場合は、モルタルを使って雨水がうまく排水されるように勾配をつくらなければなりません。

植物や藻の繁殖

ベランダ・バルコニーの床を割って、植物が芽を出していたり、藻が発生していたりする場合も要注意です。
特に、雑草の根や茎は非常に強く頑丈です。
成長していく過程で、防水層だけでなく下地のコンクリートを破壊してしまう恐れがあります。

雨漏り

ベランダやバルコニーからの雨漏りが発生している場合は、早急に防水層をつくり直さなければなりません。

ベランダの床の防水性が失われると、水が建物内部へ浸入してしまいます。
雨漏りが起きると、建物を支えている大事な柱や梁などが錆びたり、腐食したりする危険性があります。

FRP防水の特徴

繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」の略称です。

プラスチック素材の中でも衝撃性に強く、耐水性や成形性がよいことから、ベランダの防水層だけでなく、以下のような部分にも使用されています。

・ボート
・自動車
・ボディパーツ
・浄化槽
・バスタブ
・太陽光発電
・通信設備の基礎架台

メリット

・軽量のため建物への負担が少ない
・強度がある
・耐摩耗性に優れている
・工期が短い

FRPの重さは、1㎡あたり3~5kgほどと非常に軽いです。
重量があると住宅に負荷がかかってしまうため、軽量なFRPは築年数が経った家や木造住宅の狭いベランダへの施工にも最適といえます。

また、軽量でありながら重量に耐えられる強度があるのも、FRPの特徴です。
さらに耐摩耗性にも優れているため、日々ベランダの上を歩き回っても剥がれにくいです。
そのため、競技場や屋上駐車場の床にもよく使われています。

デメリット

・紫外線に弱い
・木造や鉄の下地への施工に向かない

FRPはプラスチック素材なので、紫外線に弱く、劣化してひび割れてしまうことがあります。
そのため、5年に1度のトップコートの塗り替えを怠らないことが重要です。

ウレタン防水の特徴

液体状のウレタン樹脂を塗布する工法です。

材料が化学反応を起こして硬化すると、弾性のあるゴム状の防水層が出来上がります。
狭い場所や複雑な形状をした箇所でも、継ぎ目のない完全な防水膜を形成できるのが特徴です。

メリット

・柔軟性や見た目の美しさ
・どのような下地にも施工できる

デメリット

・均一に塗装するのが難しい
・亀裂が入る場合がある

ウレタン防水はコテやローラーで塗っていく工法なので、ムラなく均一に仕上げる必要があります。

塩化ビニールシートの特徴

既存の防水材の上から施工することが可能です。

下地に直接貼り付ける「接着工法」と、等間隔に置いた円盤やディスク板に熱溶着を行う「機械固定工法」で施工するのが一般的です。

メリット

・紫外線に強い
・耐摩耗性が高い
・トップコートが不要な場合もある

塩化ビニールは紫外線や熱に強いです。
耐候性に優れており、強い日差しが当たるベランダやバルコニーへの施工に非常に適しています。

デメリット

・凸凹がある下地には対応できない
・接合部分の施工が難しい
・寿命が近づくと割れやすくなる

塩化ビニールシートはシート状であるため、施工面が平らでなければ施工できません。

ゴムシートの特徴

ゴムならではの伸縮性を活用してつくられている建材です。
耐久力を持たせた合成ゴムで、「加硫ゴム系」と「非加硫ゴム系」の2タイプがあります。

塩化ビニールシートと同様、「接着工法」か「機械固定工法」で施工されます。
軽量なので、木造住宅のベランダやバルコニーへの施工にもおすすめです。

メリット

・伸縮性があり下地に追従する
・温度変化に強い
・低価格で施工できる

伸縮性に優れており、地震の揺れや衝撃があっても下地に追従するため、ひび割れする心配が少ないです。

デメリット

・下地が平らでなければならない
・紫外線に弱い
・薄いので衝撃に弱い

塩化ビニールシートと同じようにシート状であることから、床面に凹凸が多いベランダ・バルコニーには施工できない場合があります。

また、熱には強い面がある一方で、紫外線による劣化は避けられません。
トップコートの保護効果が切れてしまう前に、早めに塗り替えることが大切です。

まとめ

ベランダの状態に合った施工方法を選ぶことで、失敗を防ぎやすくなります。
防水工事は、塗装かシートを張るかのどちらかの施工方法です。

ベランダが狭い場合は、シート工法よりも塗装で行う防水工事が向いています。
費用の面でシート工法を選びたいと思われることもあるかもしれません。