【七子八珍(ななこはっちん)】

連日の寒さに凍える皆様!
やはり寒い冬には、足元のオンボロストーブより芯からあたたまる「あつ燗!」
上司の薄っぺらいねぎらいの言葉より「あつあつの鍋料理!」ですよねー
特に寒い地方ではこの時期「鍋料理」と言えば「タラ」料理が有名ですね。
名は体を表すとおり「魚」偏に「雪」と書いて「鱈」ですから、冬の大正解です!
山形の庄内地方では「寒ダラ汁(どんがら汁ともいう)」で「寒ダラ祭り」というお祭りがあったり、青森では鱈のアラの部分と大根などの野菜で煮た「じゃっぱ汁」などが有名!どちらもあったまりますよー
さらにマニアックなものとしては、タラの白子(東北では「たつ」とか「だつ」(ダツという魚ではありません)とか言います)をさっと湯がいて氷みずで〆て、もみじおろしにポン酢でも良し、天ぷらに塩でも良し、口いっぱいに広がるクリーミーな味わいが何ともたまらないっす!!
「捨てるところがない魚」という代名詞も「まぐろ」「鮭」などに並んで「鱈」も立派な選手ですよね。




実は寒い季節になると親の魚ばかりではなく、その子供たちもおいしくなります。
青森ではこれを表して「七子八珍」(ななこはっちん)という言葉があります。
「七子」は冬場に旬を迎える魚卵たち
たらこ・ましらこ(まだら)・このこ(なまこ)・たこのこ・ほたてのこ・すじこ・ぶりこ(はたはた)
「八珍」は地元海産物の珍味(新鮮さが条件のため、あまり県外には出回らない)
くりがに・がさえび(シャコ)・なまこ・うに・ふじつぼ・しらうお・さめ・ほや
これを聞いて経験者の方はすでに足の指がムズムズし始めていると思いますが、そうこの「七子八珍」を三回唱えると「痛風」が出来上がります(ウソですm(__)m)
・・・冗談はさておき、どの珍味も尿酸値が上がりそうな旨旨な食材です。
そのうえ青森の方は酒の席でこれらの肴をよく注文します。
以前、地元の金融マンと青森市内の寿司屋で飲んだ際、酒のつまみに自分が期待した刺身盛りではなく「細巻き」を注文されました。
「せっかく青森で飲むのだから海産物の酒池肉林」を味わいたい!」とダダをこねましたが「まぁー だまってケ!」(ケ=くえ)と言われ、大将からも「めがら」(=うまいから)と言われ、それじゃーせめて酒はオラの好きなものを・・と思ったら、青森市の「田酒」と弘前市の「豊盃」、八戸市の「陸奥八仙」が一升瓶で出てきました。(これってボトルキープ?)
有無を言わさず青森県を代表する三銘酒がそろっては・・とっても文句なしです♡
さて乾杯している間に、注文した「細巻き」がテーブルに登場するや、自分は「なんじゃこれ!?」の大リアクション!
すじこ巻き・サーモン巻き・〆さば巻きにイカゲソ巻きなどの盛合わせでしたが、とにかくすじこ巻きにびっくり!
「そりゃ―確かにすじこ巻きって言うくらいだからすじこは巻いてあると思うけど、これはすじこしか巻いていない?」と思われるほど、黒いノリから真っ赤な魚卵がはみ出していました。太さは大人の親指くらい、かすかにノリとの間にご飯粒が見える程度で、どう見ても9対1くらいで、すじこの完全勝利でしょ!
サーモン巻きも似たようなシュチエーションでした。
こんなにすじこだらけだからさぞかし・・と、チョーしょっぱい味を想像しながら食べてみると・・・あれっ? 思ったよりもしょっぱくない?
大将曰く「東京のお客さんに合わせて少し甘塩仕立てにしてある」とのことだが、それでは地元のお客さん向けはどうなの!?と突っ込みたい!!
「こんな塩分を取りすぎだとすぐに脳卒中になるのでは?」との問いに「だから青森はリンゴが名産で、みんなたくさん食べている」との答え・・?
たぶんちがうと思うぞ、それ (-_-;)
こんな本能むき出しのような「悪魔のつまみ」で酒ばっか飲んでいて、「塩分を控える」という厚生労働省にケンカを売るつもりなのか?
しかし酒飲みにはこの気持ちが痛いほどわかるからくやしい・・・
ちなみに青森で「ラーメン」と言えば「煮干し系」が有名で、一説によると発祥の地とも言われているらしいですが、実は「にぼし」は痛風の大敵であることが意外と知られていません。
自分の上司は過去にそれはそれは立派な「にぼラー」でしたが、痛風が発症してからしばらくはビールと青森出張を控えるようになりました。



ところでご期待の銘酒の感想は?
「陸奥八仙」はスッキリ切れのあるきれいな酒で、白身の刺身に合いそう
「田酒」は果実感のあるバランスの良いお酒で貝類の塩ゆでとか合いそう
「豊盃」は安定感のあるお酒で煮物にはもってこい。熱燗もOK
同じ県内なのにこんなに性格の違うお酒ができるのも、この地形や風土、歴史が影響しているのでしょう。(南部藩と津軽藩の歴史はヒマなときに調べてね!)



太平洋、陸奥湾、日本海の三方とも海に囲まれた青森県には、「七子八珍」などの「海」の産物だけでなく、リンゴ・にんにくなどの「畑」の名産品もたくさんあり、厳しい自然に適した生活スタイルは知恵の恩恵によるものなので、これからもずっと続いていってほしいものですね。
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